こうしたネット小説の隆盛を考える時にライトノベルの存在は無視できません。
ライトノベルの定義は論争になるほど曖昧なものですが、一般的に「ライトノベル系レーベルから出版された中高生を読者層に想定した小説」とされています。
作家自身の人生観や心境を色濃く投影し、リアルで重厚な私小説こそが日本の小説とされた時代がありました。
それと比較すると作中人物の個性や魅力を前面に出し、非現実的な設定を物語の妙味にするライトノベルの作風は「小説にあらず」と昔からの小説ファンからは批判されています。
しかしながら、現実には多くの若者の思春期の読書体験はライトノベルが大きな比重を占めています。
設定とエピソードを組み合わせて「小説」とするライトノベルを読みなれた多くの若者が、「これなら自分でも書ける」と錯覚し、ネット小説の土壌に流れ込んだのは容易に想像できます。
しかしながら、「書きたいこと」のない作品に小説の力は宿りません。
私も多くのネット小説やライトノベルを読みましたが、良い作品(ヒット作というわけではないです)は「書きたいこと」がはっきりと作品のテーマとして読み取れます。
キャラクターやエピソードの妙味だけでは(もちろん作品の大事な魅力にはなり得ます)小説としての魅力が弱いと考えています。
テーマのない小説は「お話」としては面白くても、あとあとまで心に残るような「小説の力」のようなものを感じないのです。
これは私の偏見かもしれませんが、これからネット小説を読む時、書く時はそのことを意識してみてください。
作品の善し悪しの一つの判断材料になりますよ。
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